Professional's Eyes
スタイルのある暮らし
大阪の第一線で活躍する方々と一緒に、生活を豊かにする視点、もの選びのコツに迫ります。館内の注目アイテム、心斎橋のお気に入りスポットをご紹介。心地よい暮らし、大阪のシビックプライドを求めて。
ARCHIVES大丸心斎橋店の屋上にハチの巣箱を設置し、ミツバチたちにはちみつを集めてもらう養蜂が行われていることを知っていますか? 今年で3年目を迎えたこの「心斎橋はちみつプロジェクト」をより多くの人に知ってもらおうと、この夏、吉本興業の人気お笑いコンビ、ラニーノーズとコラボしたイラスト&写真展「Honey Runny Gallery」が開催されています。
展覧会初日の7月14日(金)、今回の企画のために大丸心斎橋店の屋上で都市養蜂も体験したラニーノーズの洲崎貴郁さん、山田健人さんが本館9Fの展覧会会場に登場。舞台で見せてくれるおなじみのブラウンのスーツにギターを抱え、即席音曲漫才を披露してくれました。
洲崎さんが「この日のために大丸の歌をつくってきました」とふり、「大丸♪」のワンフレーズであっけなく終わってしまったネタのあとは、洲崎さんがイラストで、山田さんが写真で「心斎橋はちみつプロジェクト」へ参加したことへの感想を、それぞれが話してくれました。
「屋上で養蜂をしている現場も体験しました。最初はハチに刺されないかと怖かったけど、こちらが何もしなければおとなしくて。慣れるとかわいいし、もっとここにいてミツバチを見ていたいと思えてきました」と山田さん。
「都市養蜂に感動した」とは洲崎さんで、「こんな都心でミツバチを飼っているミスマッチ感に驚きました。自分はふだんからはちみつが大好きで、カフェでコーヒーを飲むときにもいっぱい入れるのですが、ミツバチのことまではあまり考えてこなかった。こういうふうに蜜が採られているんだなあと勉強になりました」
おふたりに「こんな素敵な展示空間にしていただけるなんて、感激しました」と言わしめたブースは、見る人がハチの巣に入っていくようにイメージされた空間。洲崎さんが描くイラスト作品、山田さんが撮影した写真作品の2つのブースに分かれています。
「イラストは5点描いたのですが、それぞれが被らないように、いろんなタッチを考えました。大丸らしさをどこかで出したくて、作品の中にちょいちょい大丸グリーンを入れ込みました」と洲崎さん。
洲崎さんが言うように、5つの作品はどれも個性派ぞろい。映画ポスター風の『っぽいやつ』、女王蜂とボディガードが主役のアクションラブストーリーアニメーション風の『っぽいやつ2』、ラニーノーズとコラボした『何も気にせず朗らかに〜♪ ハニーノーズ! イェ〜♪』など、シンプルに楽しめるエンターテインメント要素のあるイラストが並びます。
「屋上ではたくさんのミツバチが大集合していて、その様子も迫力があったのですが、一匹群れから外れるハチを撮りたくて探していました。やっと見つけて撮った作品が『静かに佇む』です。まるでパーティーの最中に、大勢の人に疲れてバルコニーでたそがれている主人公のようで、気に入ってます」とは山田さん。展示作品の中でもお気に入りの写真の解説をしてくれました。採蜜の日にカメラを現場に持ち込んで撮影した写真12点からは、都市養蜂のリアルが伝わってきます。
山田さんはさらに、「女王蜂を写すことができた『圧倒的存在感』も気に入っています。これだけハチがいる中で、1匹だけオーラが違っていて。なかなか姿を見ることができないそうなので、運よく写真に収めることができてよかったです」
最後に、ラニーノーズのお二人に、この展覧会にどんな人に来てもらいたいか聞いてみました。
「アインシュタインは、“もし地球上からミツバチが消えたら、人類は4年で滅びてしまうだろう”と言ったそうです。できたら、それを確かめにアインシュタインさんに来てほしい」と山田さん。
「無理すぎるやろ」とツッコミながら洲崎さんは、「子供たちも大人も楽しめると思うので、家族みんなで訪れていただければ。また大丸心斎橋店本館9Fは外国人のお客様も多いそうなので、海外の方にもぜひ楽しんでほしいですね」
ラニーノーズさんの楽しいトークで幕を開けたイラスト&写真展「Honey Runny Gallery」ですが、このイベントの仕掛け人2人に話を聞きました。
まずは、「心斎橋はちみつプロジェクト」スタート時から都市養蜂の中心的存在、大丸心斎橋店営業部の吉田真治。3月から7月にかけて行われた、今年で3回目の採蜜を終えたばかりの今の心境を聞いてみました。
「今年は3月から7月の採蜜期間を通して満遍なくはちみつが採れました。去年は凝縮されたような濃いめの味でしたが、今年は味のバランスもよく、香りが鼻からスッと抜けるような、エレガントな心斎橋のはちみつの特徴がよく現れていたのかなと思います」
3月のスタート時には約5万匹だったミツバチが、7月には約20万匹にも増えたそう。大丸心斎橋店の巣箱から半径2〜3kmがミツバチの活動圏内ということで、大阪城公園や靱公園、天王寺動物園など緑の多い場所からハチたちが蜜を集めてきます。
「もともと都市の緑化に貢献することを目的に始めたのが『心斎橋はちみつプロジェクト』。街にミツバチが行き交うことで生態系が循環し、生き物のつながりができたり地元の緑化にも貢献したり。ローカリティを極めてグローバルに発信し、はちみつというよりも都市養蜂を大丸心斎橋店の名物にしたいですね」と吉田。
「心斎橋のはちみつ」は、本館B1のはちみつ専門店「ラベイユ」で販売しています。また、大丸心斎橋店内のレストランやショップとコラボした「心斎橋のはちみつ」を使ったオリジナルメニューにもご注目ください。
この都市養蜂をまた違った視点から多くの人に発信したいと願ったのが、今年から「心斎橋はちみつプロジェクト」に参画し、「Honey Runny Gallery」を企画した大丸心斎橋店営業推進部の高山泰世です。
「もちろん心斎橋のはちみつを販売しているのは知ってたんですが、どういうことをやっているのかはあまり知らなくて。初めて屋上に養蜂を見に行ったときに、ほんまに育ててるんや! と衝撃的でして。これが広く知られてないのはすごくもったいないなという想いがあり、今回の展覧会につながりました」
高山は、大丸心斎橋店の都市養蜂を広く伝えるために、まずは“わかりやすく、楽しく”ということを考えました。
「街の緑化やSDGsへの貢献も深く学んでいただきたいのですが、それは次のステップとして、まずはこんな都会の真ん中で養蜂をやってるということを知ってもらいたい。それを楽しくわかりやすく伝えていただくパートナーとして、芸人さんは表現力も発信力もあっていいなと思いました」
洲崎さんはイラストが得意で、山田さんは写真が趣味だと知り、この企画にぴったりだとひらめいた高山。ラニーノーズのおふたりにオファーしたことで、今回のコラボが実現しました。
「Honey Runny Gallery」の開催場所である大丸心斎橋店9Fでは、エスカレーターホールを挟んで「みんなのちょうちん なつ祭」も開催されています。こちらも高山の企画したイベントです。
「大阪の天神祭の花火も4年ぶりに復活した今年、コロナ禍で中止や規模縮小していた夏祭りの風景が戻ってくることを喜び、ワクワク感を盛り上げたいと企画しました。大丸心斎橋店の近くにある小学校や幼稚園、保育園の子供たちが思い思いの絵を描いた約120個のちょうちんが並んでいますので、『Honey Runny Gallery』と併せてご覧ください」と高山。
「Honey Runny Gallery」も「みんなのちょうちん なつ祭」も8月15日(火)まで開催。ショッピングで百貨店を訪れたついでに、想いのつまった2つの展示をぜひ楽しんでください。
吉本興業所属の音曲漫才師。大阪府枚方市出身の洲崎貴郁と箕面市出身の山田健人が、関西外国語大学短期大学部での出会いを機に結成。2008年にスタートしたロックバンドRunny Noize(ラニーノイズ)としての音楽活動も並行。『歌ネタ王決定戦2019』優勝。毎月、よしもと漫才劇場で単独ライブの開催も。
写真/西島渚 取材・文・編集/蔵 均 WEBデザイン/唯木友裕(Thaichi) 制作・編集/河邊里奈(EDIT LIFE)、松尾仁(EDIT LIFE)
大阪の第一線で活躍する方々と一緒に、生活を豊かにする視点、もの選びのコツに迫ります。館内の注目アイテム、心斎橋のお気に入りスポットをご紹介。心地よい暮らし、大阪のシビックプライドを求めて。
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